4000年以上前から取引され、世界で最も古い交易品の一つとされる「乳香」には長い歴史と浪漫があります。Tales of the Arabian Nightsでは、乳香にまつわるヒストリー、カルチャー、ウェルネスなど、ちょっとしたエピソードをアラビアンナイトのように物語っていきます。

遠い昔、
アラビアにはシバの王国があった。
星々が砂漠の風に秘密をささやき、
乳香の香りが祈りのように天へと立ち上る地。
彼の地を治めしは、賢きシバの女王
砂と香の王国に君臨する者。
その言葉は隊商を動かし、海を静めた。
聖なる木々を守るために、彼女は翼ある蛇を呼び出した。
神話のごとく、猛々しく、そして神聖なる存在。
女王の見守るもと、
その大地は黄金と香りに満ちて花開き、
人々はそこを「幸福のアラビア」と呼んだ。
In those ancient nights,
there was a Kingdom of Sheba.
Where the stars whispered secrets to the desert winds,
and the scent of frankincense rose like prayers to the heavens.
She ruled with wisdom, the Queen of Sheba
a sovereign of sand and spice,
whose word moved caravans and calmed seas.
To guard the sacred trees, she summoned winged serpents,
creatures of myth, fierce and divine.
And so, under her watchful gaze,
the land bloomed in gold and fragrance
a paradise they called Happy Arabia.
アラビア半島南端には、かつて伝説のシバ王国が栄えていました。その支配は紀元前10世紀ごろから1000年以上に渡ったとされています。
“ハッピーアラビア”と称されたこの地の繁栄を支えたのは「乳香」でした。当時、乳香は黄金と同等の価値を持ち、シバ王国はその一大産地だったのです。シバの国には季節風が吹き、それを利用して、インドのスパイスや中国のシルクを海上交易で入手し、陸と海の交易ルートを先駆けて築いていました。
伝説によれば、シバの女王は乳香の木を守るために翼の生えた大蛇を配置し、その力と威厳で略奪者から木を守らせたといいます。この逸話は乳香の尊さと女王の知恵を象徴しており、シバの文化や信仰にも深く根付いています。
王国では日常的に乳香が焚かれ、街には高貴な香りが満ちていたと伝えられています。乳香の木は、まさにシバ王国の命ともいえる存在だったのです。