4000年以上前から取引され、世界で最も古い交易品の一つとされる「乳香」には長い歴史と浪漫があります。Tales of the Arabian Nightsでは、乳香にまつわるヒストリー、カルチャー、ウェルネスなど、ちょっとしたエピソードをアラビアンナイトのように物語っていきます。
アラビア半島の南端では、かつて伝説のシバ王国が勢力を誇っていました。シバ王国の支配は、紀元前10世紀ごろから1000年以上に渡ったといわれています。
“ハッピーアラビア”と呼ばれるほどの栄華を誇った理由は「乳香」でした。
当時、乳香は黄金と同じ価値があったといわれ、シバ王国はその産地でした。また海洋と陸上に貿易ルートを先駆けて確立していたのです。シバの国には季節風が吹き、それを利用してインドのスパイスや中国のシルクを海上交易によって手に入れました。
このハッピーアラビアを治めるシバの女王は、貴重な乳香の木を守るために、翼の生えた大蛇を配置したとされています。大蛇はその力と威厳で乳香の木を守り、侵入者や略奪者から守る役割を果たしていたのです。
この伝説はシバの国の繁栄と乳香の木の尊さを象徴しており、また女王の知恵と決断力を称えるものとしても伝えられてきました。シバの文化や信仰に根付いて、このアラビア半島の家々では日常的に乳香が焚かれ、街には高貴な香りが漂っていたと記されています。乳香の木は王国の重要な資源であったのです。